玉名の郷土史を扱う歴史館がこころピアだ。
2019年3月まで改装中のため、筆者は残念ながら常設展示はまだ観れていないが、大河ドラマの主人公である金栗四三の特集コーナーは既に観覧可能。
以下、金栗コーナーについて紹介したい。
金栗コーナーは、1スペースのみの小さな展示エリアではあるが、
・ストックホルム五輪の大会プログラム
・アントワープ五輪でのランニングシャツ
・パリ大会胸章
・体力・気力・努力の書
・55年ぶりスウェーデン訪問時の招待状やパネル
などがある。
この中で私が特に興味を抱いたのは、55年ぶりのスウェーデン訪問時の招待状だ。
原文、そして日本語訳の両方が展示されており、こんな文章がある。
「この手紙を書いておりますスウェーデンオリンピック協会の経理部長であり協会の幹部会役員の私は1964年東京オリンピックの開会式直前にあなたにお目にかかりましたが、覚えておいででしょうか。
思い出しますに1912年にも私は貴下にお目にかかりましたが、55年後にまた、ストックホルムオリンピック競技場で貴下を歓迎できますことは、まことに嬉しく存じます」
つまり、招待状を書いたスウェーデンのオリンピック協会経理部長もまた55年前に金栗四三と出会っていた人なのだ。
無論、55年前に"金栗四三"という人物を意識してはいなかったかもしれないし、1964年にも再会はしている。
だが、55年の時を経て、オリンピックを愛し、スポーツ振興のために尽くしてきた人々がこうしてスウェーデンで再会したということに、私は感動を覚える。
「日本の金栗、ただいまゴールイン!タイム、54年と8ヶ月6日5時間32分20秒3、これをもって第5回ストックホルムオリンピック大会の全日程を終了します」
なんともユーモアと愛情溢れるアナウンスだ。
ところで、金栗コーナーを観終わり、博物館でバスを待つ間、壁に貼られた地元小学生が書いた習字作品を読んでいた。
書かれている文字は「走る」。"いだてん"の町らしい文字だ。
その感想を、博物館のスタッフさんに話したところこう仰っていた。
「四季折々でマラソン大会があるし、小学校で金栗さんの呼吸法を教えられたのを覚えている。大河ドラマにならなくても、金栗さんは地元では有名人なんです」
玉名市、和水町は勿論、天草でも「遅いあなたが主役です」で有名な天草パールラインマラソン大会がある。
金栗さんは、熊本の人なら皆、馴染みがある有名人なのだ。
博物館には、熊本大地震で止まった時計も展示されていた。
まだまだ完全復興に向けて長い時間が必要だが、私はこれからも"がまだせ熊本!"を合言葉に応援し続けたいと思う。
常設展が再開される2019年3月以降、また訪れてみよう。
【基本データ】
営業時間:開館時間9:00~17:00(最終入館16:30)
休館日:
毎週月曜日(当日が祝日の場合はその翌日)
祝日の翌日(その日が日曜日のときを除く)
年末・年始(12月28日から1月4日まで)
入場料:
一般300円(210円)
大学生200円(140円)
高校生以下は無料。
「こどもの日」「文化の日」は無料日。
( )内は20人以上からの団体割引料金。
障がい者手帳等をお持ちの方は、ご本人および付き添いの方1名が無料。
アクセス:
アクセス:2020/1/13までは新玉名駅前、玉名駅前より「金栗四三周遊バス」有り。(時刻表はこちら)
あるいは玉名駅よりタクシーで約8分(徒歩では約2.5km)