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古墳の中でも、内部の壁などに絵などの装飾があるものを「装飾古墳」と呼ぶ。
古墳全体の1%にも満たないレア古墳だが、そのうち実に約17%が菊池川流域に造られている。

中でも代表的なのが山鹿にある「チブサン古墳」だ。
この古墳には、阿蘇火山灰(凝灰岩)でドーム状に覆われた石室の正面と左右に装飾が施されている。

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まずは原寸大の複製(写真)を見て頂きたい。
正面には、カラスのような絵。そして女性の乳房のように見える白い丸、黒い点があり、これが「チブササン」→「チブサン」の由来になったと言われる。
赤(鉄サビ)、白(粘土)、黒(マンガン)の3色が使われ、△や□の模様は、魔除けと推定される。

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右側には王冠を被り、手を広げた人のような絵が。恐らくは葬られた人だろうか。あるいは宇宙人のようにも見える。
上部の白い丸7つは、鏡(銅鏡)あるいは北斗七星を表しているとの説もある。

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左側には白と赤の丸がある。これが太陽だとすると、右側の「北斗七星」説は俄然、可能性が出てくるようにも思えるが定かではない。

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一部、装飾が抜けている青い部分があるが、ここに装飾があったのかどうかは不明。
というのも、チブサン古墳は盗掘にあっているため、発見された時には何も残っていなかったのだ。
菊池平野、山鹿平野を治めていた豪族の墓で、約1500年前に造られたとされるが、それすら憶測の域を出ない。(古墳の発見者すら不明)

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石室上部(複製)。「×」マークは魔除けと推定される。

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冒頭の写真とは違う角度からの外観。前方後円墳で、外観も乳房のように見える。

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ケースに展示されている円筒の埴輪はチブサン古墳の堀に並んでいたようだ。
また横にある石人は、「筑紫 磐井」で有名な八女市界隈で多く発見されており、山鹿にも存在したのではと言われている。


現在、保存の観点から、チブサン古墳は自由見学はできず、山鹿市立博物館に事前予約することで、学芸員の方に案内頂ける。(1日2回)
最初に上記した内容を、複製を交えて説明頂いた後、盗掘で使われた穴を改装した通路を通り、実際の石室を見ることができる。


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以上、未だに謎だらけのチブサン古墳だが、現在は「乳の神」として信仰されており、時折、夜の見学も企画されたりパワースポットのような存在にもなっているらしい。
古代ロマンやミステリーがお好きな方にもおススメの古墳だ。

参考資料:
山鹿市の指定文化財 -ふるさとの文化遺産-(山鹿市立博物館)
山鹿市立博物館 学芸員様の解説

【基本データ】
公開日:山鹿市立博物館の開館日(月曜休館、月曜が祝日のときはその翌日、年末年始)
見学可能時間:10:00~、14:00~(1日2回。事前に山鹿市立博物館にて要予約)
見学料:一般・大学生100円、高校生以下50円
    団体(20名以上)一般・大学生60円、高校生以下30円 



アクセス方法:
鹿児島本線「玉名駅」もしくはJR「熊本駅」からバス「山鹿バスセンター」~「博物館前」下車後、徒歩5分で、山鹿市立博物館に行き受付